B@SEラボ vol.2「リカバリーの視点から考える関わり方」

「子どもたちの学びの場をつくっている大人のための学びの場」

B@SEラボvol.2として、今回は「リカバリーの視点から考える関わり方」というテーマで勉強会を行いました。

リカバリーという言葉を皆さんはご存知でしょうか?

リカバリーとは、「精神障害のある人が、それぞれ、自分が求める生き方を主体的に追求すること」であり、それを支援することが、医療関係者や福祉関係者に求められるということだと思います。
リカバリーの目的は、症状をなくすことではありません。治療によって症状を和らげることはもちろん必要ですが、何より大切なのは、本人が、こういう生活がしたいという夢や希望を持ち、それを周囲が支えることです。たとえ統合失調症の症状が残っていても、症状とうまくつきあいながら、学校に通ったり、働いたりしている人は少なくありません。
NHK ONLINE 若者のこころの病 情報室より

”支援”というと、相手の「できないこと」にフォーカスが当たりがちですが、リカバリーというのは相手の「できること」に注目しようという視点です。
今回のラボでは、「エンパワメント」と「強み(ストレングス)」について詳しくお話いただきました。

「エンパワメント」とは、障害をもつ人に力(パワー)をつけさせることではなく、本人がすでにもっている力を正当に発揮できる環境づくりを、本人と一緒に行う活動のことを指します。つい相手のできないことをなんとかするためにいろいろと「やってあげよう」としてしまいますが、やりすぎてしまうとエンパワメントの矛盾も起きてしまいます。

エンパワメントのパラドックス(矛盾)

支援者が本人に力をつけさせようと意図的に働きかけたり、問題を解決してあげると、逆に自ら問題を解決していく力を失う

また、「強み(ストレングス)」とは相手ができること・やりたいと思っていることを指します。「関心・願望」「性質・性格」「才能・技能」「環境」に分けて、その人が持っている資源を出していきます。

このようにリカバリー視点で相手の強みを大切にすることによって、相手が内発的に動機付けられていくんです。
今回の勉強会でのお話の中で、一番印象深かった言葉が「人は、興味や関心、向上心、長所に基づいて成長する」でした。
支援しよう!とか教えてあげよう!とかって気持ちが強すぎると、つい相手のできないところばかりに目がいってしまう。でもやっぱり人は自分の好きなことやできることから成長していくんだなということに気づかされました。

好きなことを目一杯やれる環境があるからこそ、できないことにも向き合うことができる。僕らは徹底的に子どもたちのできることや好きなことを広げるお手伝いをしていこうと、心に誓いました。

 リカバリーという概念を学んだ後は、実際に相手の強みを見つける練習として、各グループで折り紙を使ってつくった”箱”を社会で活用するためにはどうしたらいいか?を考え、アイディアを出していきました。
「この箱でしかご飯が食べられないから痩せることができる」
「取り外しが簡単でいろんな色や柄があるので、簡単に着せ替えられるパソコンにする」
など、斬新なアイディアがたくさん出てきました。
これは箱の強みに着目していなければアイディアは出てきません。
対象が箱から人に変わっても全く一緒ですよね。

「あなたは堂々とやっていい!」
こう言ってあげられる人でありたいと思いました。

今回のB@SEラボにご参加いただいたみなさまどうもありがとうございました。